経営状況評点UPのポイント【経営事項審査】

経営状況評点

経営状況評点の重要性

経営事項審査で良い評価を受け、公共工事の受注を他の建設業者より有利に進めていくためには、経営状況評点をUPさせる必要があります。

経営状況評点が総合評定値(この値でランク分けされる)に占める割合は20%ですが、だからといって軽視してはいけません。

建設業の大多数を占める中小業者の間において経営規模等評価には評点の差がつきにくいのに対して、経営状況評点は経営状況の良い建設業社とそうでない業者とで大きな差が生じます。

つまり経営状況評点をUPさせることで同規模の建設業者より総合評定値を上げることができ、公共工事を受注しやすくすることができます。

経営状況評点は8つの指標によって算出されます。それぞれどのようなことをすれば評点がUPするのか説明します。

純支払利息比率

(支払利息ー受取利息配当金)÷売上高×100

この指標は企業の健全性を示す指標です。売上高に対して実質的な支払利息がどの程度あるかを表し、この数値が小さいほど支払いの負担が少なく健全な状態であるといえます。

純支払利息比率の評点UP対策

評点を上げるためにいかに実質金利を減らすことができるかがポイントになります。(借入金をいかに減らせるか)

  • 固定預金などを解約し、その資金を借入金の返済に充てる
  • 資材などが過剰在庫になってないか検討し、適正在庫に調整することで浮いた資金を借入金の返済に充てる
  • 遊休資産(土地など)を売却し、その資金を借入金の返済に充てる
  • 増資などの資金調達を実施し、借入金の返済に充てる
  • 借り換えを実施し、支払利息の総額を減らす

負債回転期間

(流動負債+固定負債)÷売上高÷12

この指標は負債が多すぎて経営を圧迫していないか確認する指標です。平均月商に対する負債の量を表しており、数値が小さいほどよいとされます。

負債回転期間の評点UP対策

この評点をUPさせるためには大きく分けて2つの方法ががあります。1つ目は売上を伸ばすこと、2つ目が負債を減らすことです。

売上をいきなり大きく伸ばすことは難しいので、ここではいかに負債を減らすことができるかに焦点をしぼって説明します。基本的には純支払利息比率の評点UPポイントと同じになります。

  • 固定預金などを解約し、その資金を借入金の返済に充てる
  • 資材などが過剰在庫になってないか検討し、適正在庫に調整することで浮いた資金を借入金の返済に充てる
  • 遊休資産(土地など)を売却し、その資金を借入金の返済に充てる
  • 増資などの資金調達を実施し、借入金の返済に充てる
  • 借り換えを実施し、支払利息の総額を減らす

総資本売上総利益率

売上総利益÷総資本(2期平均)×100

この指標は企業の資本収益性を表す指標です。総資本に対する売上総利益の量を示し多いほど良いとされます。

総資本売上総利益率の評点UP対策

この評点をUPさせるためには2通りの方法があります。1つ目が総資本を減少させること、2つ目が売上総利益を増加させることです。

総資本の減少させる

  • 解約した固定預金で負債を返済
  • 減少させた棚卸資産で増えた資金により負債を返済
  • 処分した遊休資産で得た資金により負債を返済
  • 減価償却を実施

売上総利益を増加させる

  • 売上高に占める売上原価の割合を下げる
  • 経費の支出を合理的に行う
  • 工程管理を徹底し不要な人員投入や手持ち工事をなくす
  • 材料の重複や加重仕入による原価増を防ぐ

売上高経常利益率

経常利益÷売上高×100

この指標は企業の収益性を表す指標です。その企業の本業と本業以外の成果を集約したもので、この数値が高いほど利益率の高い会社ということになります。

売上高経常利益率の評点UP対策

  • 質の良い売上高を多くする
  • 売上原価の割合を低く抑える
  • 販管費を削減する
  • 支払利息など営業外費用を少なくする

自己資本対固定資産比率

自己資本÷固定資産×100

企業の財政状態の健全性を示す指標です。自己資本が固定資産の額を超えているほど健全性が高く下回っているほど不健全になります。

自己資本対固定資産比率の評点UP対策

自己資本が固定資産より多いほど財政状態が健全ということなので、自己資本を増加するか又は固定資産を減少させればよいことになります。

  • 増資をして資本金を多くする
  • 継続的に利益剰余金を積み増して、自己資本の総額を増加させる
  • 不要な遊休資産を処分し財務体質を改善する

自己資本比率

自己資本÷総資本×100

企業の財務状態の健全性を示す指標です。総資産が自己資産のみで調達されている状態を理想とし、自己資本の割合が高いほど財務状態は健全であります。

自己資本比率の評点UP対策

  • 可能な限り増資をし、資本金を多くする
  • 純利益を継続的に積み増すことで利益剰余金の蓄積を増やす
  • 遊休資産を処分して得た資金で、借入金などの負債を減少させる
  • 過剰在庫を減らし、運転資金を増やす
  • 貸付金を回収する

営業キャッシュフローの額

営業キャッシュフロー(2期平均)÷1億

この指標は資金収支が健全であるかを見る指標です。

営業キャッシュフローの評点UP対策

  • 経常利益を増やす
  • 減価償却費が多いこと
  • 引当金が増加していること
  • 売掛債権が減少していること
  • 支払債務が減少していること
  • 棚卸資産が減少していること
  • 受入金が増加していること

利益剰余金の額

利益剰余金÷1億

この指標でその企業に内部留保がどのぐらいかあるかをみることができます。利益剰余金が多いほど評点が高くなります。

利益剰余金の評点UP対策

いかに利益剰余金を増額することができるかがポイントになります。

  • 毎期欠かさずに利益を計上し、蓄積する
  • 合理的な経営を行う
  • 予算を管理し高い経営成果を上げる

まとめ

  • 借入金の総額と支払利息を減少させる
  • 自己資本を増やすため、適正利益を確保して利益剰余金を積み増す
  • 予算に基づいた粗利益の確保
  • 予算に基づいた支出
  • 持ち越し在庫の活用
  • 過重・重複仕入しない
  • 工程管理の徹底
  • 売掛債権の積極的な回収
  • 減価償却の実施