個人事業主の経験で経営業務の管理責任者になるための要件と証明方法

建設業許可を取得するためには経営業務の管理責任者がいなければなりません。

しかし誰でもが経営業務の管理責任者になれるわけではなく、一定の建設業の経営経験が必要になります。

例えば、建設会社の役員経験や個人事業主としての経験などです。

このページでは個人事業主の経験で経営業務の管理責任者になるための要件と証明方法について解説します。

目次

個人事業主の経験で経営業務の管理責任者になるための要件

個人事業主として5年又は6年以上の経験が必要になります。

なぜ5年必要な場合と6年必要な場合があるかといいますと、取得したい許可業種と個人事業主として経験した業種の関係で変わってくるからです。

欲しい許可業種と経験した業種が同じであれば5年の経験でOKですが、違った場合は6年の経験が必要になります。

分かりやすく具体例を挙げてみます。

  • とび・土工の許可が欲しい➡とび・土工の経験(個人事業主として)が5年あればOK
  • 左官の許可が欲しい➡とび・土工の経験(個人事業主として)が6年必要

このように欲しい許可業種と経験した業種が同じなら5年、異なっているならば6年必要になります。

取得したい業種と経験した業種が違くても経営業務の管理責任者になれることに疑問を持つ人もいるかもしれませんが、経営業務の管理責任者の要件で見られていることはあくまでも建設業の経営経験になりますので、業種が違っても6年の経験があればなることができるようになっています。

個人事業主の経験を証明する方法

許可を申請するときには上記で説明した建設業の経営経験の要件を満たしているのか資料で証明しなければなりません。

必要な資料は以下のものになります。

  • 個人事業主の期間の所得税確定申告書又は市町村発行の所得証明書
  • 申請する業種の工事請負契約書、注文書

事業主の経験を所得税の確定申告書又は市町村発行の所得証明書によって証明します。そして、その期間に本当に建設業の経験を積んでいるのかを確認するために工事請負契約書や注文書が必要になります。

所得税の確定申告書

事業主として証明したい年数分の確定申告書が必要になります。例えば5年間の経験を証明したい場合は確定申告書も5年分必要になります。

そして注意しなければならないことが、その確定申告書に税務署の受付印があるかどうかです。受付印がないものは残念ながら認められません。最近では申告会等での受付印でも認められるケースがありますので、ご相談下さい。

また電子申請などで受付印がない場合もありますが、その場合は電子申請の受信通知や手続完了画面などの受付されたことが分かる画面を印刷したものがあれば事業主の経験を証明する資料として認められます。(受付日時と受付番号が印字されていることが必要)

確定申告書を紛失してしまったり受付印等がない場合は次に説明する所得証明書で証明するか、税務署へ確定申告書の開示請求を行い確定申告書を手に入れる方法があります。

開示請求する場合は請求してから開示されるまで1カ月ほど時間がかかってしまうので、所得証明書が取得できればそちらの方がスムーズに建設業許可申請をすることができるかと思います。

市町村発行の所得証明書

受付印のある確定申告書がない場合は市町村発行の所得証明書でも事業主経験を証明することができます。

名前の通り、市役所などで申請すれば発行してもらうことができます。

しかし遡って何年分まで発行してもらえるかは市町村によって異なります。また昨年度の所得証明をとる場合は昨年度の所得が反映されるまでに時間差がありますので注意して下さい。

工事請負契約書、注文書

証明資料として証明したい年数分の工事請負契約書や注文書が必要になります。その期間中すべての契約書や注文書が必要というわけではなく、原則1年につき1枚の契約書や注文書があれば大丈夫です。

工事請負契約書、注文書を紛失している場合や、そもそも書面で残していない場合は発注証明書作成すればOKです。

まとめ

個人事業主の経験で経営業務の管理責任者になるための要件

  • 5年又は6年以上の個人事業主経験(取得した業種と経験業種によって年数が違う)

証明方法

  • 所得税の確定申告書(受付印があるもの)又は市町村発行の所得証明書を必要年数分
  • 工事請負契約書又は注文書を必要年数分(原則1年につき1件)