個人事業を法人化するときの注意点

個人事業を法人化するときの注意点

個人事業主として建設業を営んでおり事業を法人化したいと考えている経営者はたくさんいるかと思います。

そのような経営者向けに個人事業を法人化するときに注意しなければ点について分かりやすく説明しています。

目次

法人成り新規

許可を得て営業している個人事業主が事業を法人化するときは改めて法人としての新規許可申請を行う必要があります。これを法人成り新規といいます。

残念ながら個人事業主として取得した建設業許可は引き継ぐことができません。 しかし法人化しても個人事業主のときの競争入札参加資格は引き継ぐことができます。

法人化するときの3つの注意点

  • 役員に後継者を入れておく
  • 事業目的に取扱う予定の業種を入れる
  • 許可要件を満たした資本金にする

役員に後継者をいれておく

法人化するときに個人事業主本人がそのまま一人取締役になり、そのまま経営業務の管理責任者に就任することが多くあります。 しかし、本人が何らかの原因で欠けてしまった場合は、本人に代わる経営業務の管理責任者がいなくなり営業ができなくなってしまいます。

また、子供などの後継者に事業を譲りたい場合にも後継者が経営業務の管理責任者の要件を満たしていなければ譲ることができません。

このようなことが防ぐためにも会社を設立する段階で、配偶者や子供などを役員に就任させ経営業務の管理責任者の要件を備えさせることが重要です。

そうすれば本人にもしものことがあった場合でも許可を失うことがありませんし、後継者への事業譲渡をスムーズに行うことができます。

会社の事業目的に取扱う予定の業種をいれる

会社を設立するときに定款に事業目的を定めることになります。事業目的とはその会社がどのような事業をするのかを定めたもので、定めた事業目的以外の事業は行うことができません。

この事業目的をよく考えて決めないと、取得したい業種の許可申請ができません。 許可業種と 同一の表現を使って記載するのが望ましいですが、申請業種内容を示す表現が使用されていれば原則認められます。

例えば、内装仕上工事業は家具裾付工事やクロス張り工事という表現でも良い場合があります。

また、法人化した当初は考えていない業種でも将来許可を取得したい業種や必要になりやすい業種についても事業目的として定めていた方がいざ必要になったときにスムーズに許可申請をすることができます。

定款で事業目的が定められていなければ、定款を変更してからの申請になるため手間と費用がかっかてしまいます。

こちらで一緒に取得しときたい業種について解説してます。➡建設業許可の29業種【一緒に取得したい許可業種】

なお、申請時において定款に事業目的が明記されていなくても次回の株主総会で変更する旨の念書があれば新規申請、追加申請の初回の限って認められる場合があります。

しかし次回の更新時までに必ず変更し、事業年度終了後の決算変更届の提出のときに変更した定款を届ける必要があります。

資本金の要件を満たした会社を設立する

建設業許可を取得するために財産的要件が定められており、一般建設業許可の場合は500万円以上の財産的要件が求められます。

資本金を500万円以上に設定すればその財産的要件を満たしていることを証明することが簡単になり、許可申請をスムーズに行うことができます。

もちろん資本金が500万円未満でも財産的基礎が500万円以上あることを証明すれば許可を取得することができます。(口座残高証明書や融資証明書などが必要)

詳しくはこちら➡財産的基礎【初心者でもよく分かる許可要件】

まとめ

  • 個人事業から法人へは建設業許可は引き継がれない
  • 役員に後継者を就任させておく
  • 事業目的に取扱い予定業種も入れておく
  • 資本金を500万円以上に設定する

個人事業から法人化した場合に建設業許可が引き継がれないことに注意して下さい。