建設業が許可制の理由【どうして許可が必要なの?】

建設業の許可制

建設業者が建設業許可業者として営業をするためには建設業許可の5つの要件をすべてクリアし、許可を受ける必要があります。(500万円以下の規模の小さい工事では許可不要、例外あり)

このように建設業が許可制になっている理由について本ページで分かりやすく説明しています。

目次

建設業の許可制の理由

建設業が許可制である理由は「適正な施工の確保と発注者保護」のためです。

簡単にいうと、手抜き工事や倒産などでみんなに迷惑はかけさないようにするための制度になります。

仕事を依頼した建設業者が手抜き工事したり、倒産してしまったら大変です。そのようなリスクから仕事の発注者を守るために、ある一定の規模以上の工事には建設業許可が必要になりました。

一定の規模とは500万円(建築工事では1500万)以上の工事という認識でOKです。詳しくはこちら➡軽微な工事【これでばっちり!建設業許可が不要な工事とは

建設工事は契約前に完成品を見ることができない

建設業はその性質上ほとんどが受注生産になります。これは発注者が実際に完成品を確認してから購入することができないことを意味します。

もちろん建売住宅のように完成品を見てから契約するかしないかを決めることができるものもありますが、道路や橋などのように完成品を見てからの契約ができないケースがほとんどです。

テレビやエアコンのような家電製品などであれば、電気屋で実物の商品を見たり、商品の説明を定員さんから聞くことができます。他にもインターネットでクチコミなども集めることができます。このように色々と情報を集めながら、実際に手に取って商品を購入するかどうかを決めることができます。

しかし、建設業の商品であるビルを建てたり道路をひいたり、又は補修したりということは実際に完成品を見てから依頼できる性質のものではありません。

さらにその工事が手抜き工事や欠陥工事の場合は工事後すぐには発覚せず、何年かあとに発覚するケースがあります。

プロならまだしも素人が完成品を見て、ここが手抜き工事がされている、あそこの部分は欠陥工事だと判断することはほぼ不可能です。

このような理由で建設業を許可制にすることで一定の技術力を確保して適正な施工の確保と発注者を保護しています。

具体的には技術的要件として専任技術者を置くことを定めています。

倒産によるリスク

工事をお願いした建設業者が工事完成前や工事完成後に倒産してしまったらどうでしょうか?

どのような問題が起きるのか下で見てみましょう。

工事完成前の倒産

建設業者が工事を完成させる前に倒産してしまったら、当然その業者が引続き工事を完成させることができませんので、代わりの業者を探さなければなりません。建設業者にも得意とする工事や持っている技術力に違いがあるので新しく代わりの業者を見つけるのは大変です。

また、倒産によるお金の問題もあります。すでに支払った代金が戻ってこなければ大変ですし、仮に戻ってきたとしても時間がかかったり、専門家に相談したりと多くの労力がかかってしまうかもしれません。

工事完成後の倒産

工事完成前の倒産は大きな問題ですが、工事完成後の倒産にも大きな問題があります。

工事完成後に補修をお願いする場合、その業者が倒産していたら別の業者を探さなくてはなりません。

工事をしてくれた業者にお願いした方が話が通じやすいので余計な手間がかかってしまいます。他にも不具合などが見つかって保証をしてもらうときも倒産していればその業者から保証を受けることができないかもしれません。

このように倒産による不都合も多くあります。建設業許可要件として建設業の経営経験や資金力を定めることで、倒産の危険性がある業者を未然に排除しています。

具体的には経営業務の管理責任者を置くこと、財産的基礎または金銭的信用があることを定めています。

まとめ

これまでで説明した通り、建設業は他の業界と違って特殊な業界です。

1つの依頼物を完成させるためにたくさんのお金や時間がかかり、そして多くの人が関わります。建設業者がいいかげんな工事をしたり、倒産をしてしまったら周りに大きな迷惑がかかることになります。

このようなことが起きないように建設業では許可制を採用し、技術力や資金力などを確認することで、不適切な業者を排除をしています。

それによって建設工事の適切な施工の確保、発注者の保護、建設業の健全な発達を目指しています。