建設業許可業者の義務とは【すぐ分かる】

建設業者義務

目次

建設業許可業者の義務

建設業許可を取得すると法定額以上の工事を請負うことができるようになりますが、それと同時にいくつかの義務が課されることになります。

どのような義務があるのでしょうか。大まかに7つに分けることができます。

  1. 届出義務
  2. 標識の掲示義務
  3. 帳簿の備付・保存義務
  4. 営業に関する図書の保存義務
  5. 契約締結に関する義務
  6. 工事現場における施工体制等に関する義務
  7. 下請代金の支払いに関する義務

届出義務について

許可申請で届けた内容に変更が生じた場合は定められた期間内に変更の届出が必要になります。例えば、経営業務の管理責任者が変更になった場合は変更の届出義務が必要です。単に経営業務の管理責任者を削除する場合にも行政庁へ届出をしなくてはなりません。

他にも1年に1度、決算変更届を提出しなくてはなりません。これはこの1年間どんな工事をしたのか決算はどうなのか、などを報告する届出です。詳しくはこちらを➡決算変更届の提出義務【毎年提出してますか?】

届出が必要になる変更一覧

  • 経営業務の責任者の変更
  • 経営業務の責任者の氏名変更
  • 経営業務の責任者の削除
  • 営業所の専任技術者の変更
  • 営業所の専任技術者の氏名変更
  • 営業所の専任技術者の削除
  • 令第三条に規定する使用人の変更
  • 欠格要件のいずれかに該当
  • 商号又は名称の変更
  • 営業所の名称又は所在地の変更
  • 営業所の業種変更
  • 資本金額の変更
  • 役員等の変更
  • 営業所の新設
  • 営業所の廃止

 

標識の掲示義務について

建設業の許可を取得した者は、その店舗及び建設工事の現場ごとに公衆の見やすい場所に標識を掲げなくてはなりません。標識は定められた様式で作成しなければならないので注意して下さい。

  • 店舗用の標識・・・縦35cm以上、横40cm以上
  • 現場用の標識・・・縦25cm以上、横35cm以上

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※イメージ画像です。

 

帳簿の備付・保存義務について

建設業の許可を取得した者は、請負契約の内容を適切に整理した帳簿を営業所ごとに備えなくてはなりません。帳簿は5年間(発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものは10年間)保存しなければなりません。

帳簿に記載する内容

  • 営業所の代表者の氏名およびその者が営業所の代表者となった年月日
  • 請負った建設工事の名称および工事現場の所在地
  • 注文者と請負契約を締結した年月日
  • 注文者の商号・名称(氏名)、住所、許可番号
  • 請負った建設工事の完成を確認するための検査が完了した年月日
  • 工事目的物を注文者に引き渡した年月日
  • 当該住宅の床面積
  • 建設瑕疵負担割合(発注者と複数の建設業者の間で請負契約が締結された場合)
  • 住宅瑕疵担保責任保険会社の名称(資力確保措置を保険により行なった場合
  • 下請負人に請負わせた建設工事の名称および工事現場の所在地
  • 下請負人と下請契約を締結した年月日
  • 下請負人の商号・名称、住所、許可番号
  • 下請負人に請け負わせた建設工事の完成を確認するための検査を完了した年月日
  • 下請負人の目的物について下請負人から引渡しを受けた年月日

営業に関する図書の保存義務について

建設業の許可を取得した者は、発注者から直接建設工事を請負った場合は、営業所ごとに営業に関する図書を当該建設工事の引渡しをしたときから10年間保存しなければなりません。(完成図、打ち合わせ記録、施工体系図など)

契約締結に関する義務について

請負契約の締結に関して、着工前書面契約の徹底や契約書面の記載必須事項の規定等の義務があります。(契約内容をめぐる紛争を未然に防止する役目あり)

また、自己の取引上の立場を利用して不当に低い価格で契約締結を強制することや、当該工事に使用する資材等を指定し、請負人の不利益になるような行為をすることなどは禁止されています。

請負契約書の作成についてこちらで設営しています。➡請負契約書作成のポイント

工事現場における施工体制等に関する義務について

  • 主任技術者等の配置・専任義務

建設業の許可を取得した者は、工事現場への主任技術者(又は監理技術者)を配置しなければなりません。そして法定額以上の工事に関しては、その現場に専任でなければならず、兼務は禁止されています。

主任技術者とは一般建設業許可の専任技術者の資格要件を満たす者を指し、監理技術者は特定建設業許可の営業所専任技術者の資格要件を満たす者を指します。

主任技術者と監理技術者についてはこちらをどうぞ➡主任技術者と監理技術者の違いを分かりやすく説明

  • 一括下請負の禁止

請負った工事について他者に一括して請け負わせる行為や他者から一括して請け負う行為、双方が禁止されています。 一括下請けが繰り返されることで責任の所在が不明確になることや仲介業者の搾取を防ぐために一括下請負が禁止されています。

一括下請についてはこちらをどうぞ➡一括下請負の禁止とは【知らないうちに一括下請負してませんか?】

下請代金の支払いに関する義務について

注文者から請負代金の出来高払い又は竣工払いを受けたときは、工事を施工した下請負人に対して、相当の代金を1カ月以内に支払わなくてはなりません。

元請・特定建設業の業者の義務

元請・特定建設業の業者は性質上大規模な工事を請負う機会が多くなるので、通常より厳しい義務が定められています。こちらの記事で解説しています➡元請業者・特定建設業業者の義務ってどんなものがあるの?

まとめ

建設業許可を受けた者は以下の義務を負います。

  1. 届出義務
  2. 標識の掲示義務
  3. 帳簿の備付・保存義務
  4. 営業に関する図書の保存義務
  5. 契約締結に関する義務
  6. 工事現場における施工体制等に関する義務
  7. 下請代金の支払いに関する義務