元請業者・特定建設業者の義務を分かりやすく解説

元請業者と特定建設業者の義務について説明します。

元請業者や特定建設業としての元請業者は大規模な工事を請負う機会が多く、立場上優位になりやすいため適正な工事と元請・下請け間の対等な関係、公正かつ明白な取引を目的として、通常の建設業許可業者の義務に加えて多くの義務が定められています。

どのようなものがあるか見てみましょう。

  1. 見積り条件の提示義務
  2. 書面による契約締結義務
  3. 不当に低い請負代金禁止
  4. 指値発注の留意点
  5. 不当な使用材料などの購入強制禁止
  6. 一方的なやり直し工事禁止
  7. 工事変更時の留意点
  8. 赤伝処理の留意点

元請業者の義務

①見積り条件の提示義務

下請け契約を締結する前に元請業者は、具体的内容を下請け業者に提示し、下請け業者が見積りをするために必要な一定の期間を設けなくてなくてはなりません。

元請という立場を利用し、十分な時間を与えずに契約を迫ることは禁止されています。

②書面による契約締結義務

契約、追加工事や工期変更にともなう契約の追加や変更のときに、元請・下請間で、下請工事着工前に法で定める事項を記載した契約書面(電子契約も可能)を相互に交付すること、または注文書や請書による契約は、契約書面と同等要件を満たすことが必要です。

しっかりと契約内容を書面で締結することによって、契約事実や契約内容などのトラブルを予防します。

③不当に低い請負代金禁止

取引上優位な立場にある元請業者が下請業者に対して、その立場を利用し、通常必要と認められる原価を割るような取引を強要してなりません。

④指値発注の留意点

元請業者が一方的に決めた請負金額を下請業者に提示し、その額で下請業者に契約を締結させてはいけません。元請業者が契約額を提示する場合には、根拠を明らかにして下請業者と十分に協議を行う必要があります。

⑤不当な使用材料などの購入強制禁止

資材や工事などの購入先を指定して、下請業者の利害を害することは禁止されています。 使用資材などを指定する場合には、事前に見積もり条件としての項目を提示しなければなりません。

⑥一方的なやり直し工事禁止

下請業者の責任ではないのに工事のやり直しを求める場合は、契約変更が必要になります。 その場合の費用は、下請業者の責任で工事のやり直しになった場合を除いて元請業者が負担します。

⑦工事変更時の留意点

しかたなく工期の変更が必要になった場合は、当初契約と同様に契約書面を元請業者と下請業者とで相互に交付しなければなりません。

このときの費用の増加は下請業者に一方的に負担させてはなりません。 下請業者の責めに帰すべき理由がない場合は、元請業者がその費用を負担する必要があります。

⑧赤伝処理の留意点

下請代金の支払い時に、支払いに関して発生する諸費用、施工にともない発生する建設廃棄物の処理費用、その他の諸費用は相殺してはいけません。

赤伝処理する場合は双方の協議・合意が必要であり、その内容を見積もり条件や契約書面に明示すること、下請業者の過剰な負担にならないようにすることが必要です。

特定建設業者である元請業者の義務

特定建設業である元請業者は上記の義務に加え次の義務が定められています。

  • 支払いの留保禁止
  • 長期手形の禁止
  • 帳簿備え付け及び保存

①支払い保留禁止

元請業者が請負代金の出来高部分の支払いや工事完成後に支払いを受けたときは、支払いを受けた日から1カ月以内に下請業者に対して速やかに支払うことが義務付けられています。

特定建設業が元請けの場合は下請け業者からの目的物の引渡しの申し出があったときは、たとえ発注者から支払いを受けていなくても、申し出のあった日から50日以内にできるだけ早く下請け代金を支払わなければなりません。

ただし、下請業者が特定建設業者の場合と資本金が4000万円以上の一般建設業者の場合は除きます。

②長期手形の禁止

元請業者が特定建設業業者であり、下請業者が資本金4000万円未満の一般建設業許可業者である場合、下請代金の支払いに一般の金融機関による割引をうけることが困難な手形を交付してはなりません。

③帳簿備え付け及び保存

建設業者は営業所に帳簿を備え5年間保存しなければなりません。 帳簿には法で定められた事項を記載し契約書を添付する必要がありますが、特定建設業業者が元請けになっている場合はさらに添付が必要な書類があります。